弾性着衣、弾性包帯の療養費申請

弾性ストッキング、弾性スリーブ、弾性包帯の購入は給付金としてお金が返ってきます。

申請先は、弾性着衣・弾性包帯の購入の指示があった日に加入している健康保険です。

  • 国民健康保険(自営業、学生、サラリーマンに扶養されている妻(夫)、各市町村が運営)
  • 全国社会保険協会(主に中小規模の事業所が加入、社会保険協会が運営)
  • 健康保険組合(大規模クラスの事業所、設立事業所が運営)
  • 共済組合(公務員や教員が加入、共済組合連合会が運営)
  • 国保組合(同業他社の連合、建築国保や医師国保など。設立団体が運営)

など。

お持ちの健康保険証の下の方に書かれていますので確認してみてくださいね。

給付金申請に必要なもの

1.療養費支給申請書(申請先によって様式は異なります)

2.担当医師による装着指示書このページ下↓の様式
  *指示書は無料で書いてもらえます。(保険医療養担当規則による*)

3.弾性着衣等を購入した際の領収書(原本)

この3点を揃えて、ご加入の健康保険へ申請してください。

確定申告で、医療費控除を受けられる方は、申請の際に「確定申告に必要なため、領収書の原本、または保険者の原本照明のある領収書の写しを返却してほしい」ということを窓口の担当者へ伝えておきましょう。

​申請書の空欄に一筆添えてもいいかもしれませんね。

給付金の支払い時期は、健康保険の制度によって異なりますので申請先の窓口でお確かめくださいね。

​(*)保険医療機関及び保険医療養担当規則 

 第一章 保険医療機関の療養担当

 (証明書等の交付)
第六条  保険医療機関は、患者から保険給付を受けるために必要な保険医療機関又は保険医の証明書、意見書等の交付を求められたときは、無償で交付しなければならない。ただし、法第八十七条第一項 の規定による療養費(柔道整復を除く施術に係るものに限る。)、法第九十九条第一項 の規定による傷病手当金、法第百一条 の規定による出産育児一時金、法第百二条 の規定による出産手当金又は法第百十四条 の規定による家族出産育児一時金に係る証明書又は意見書については、この限りでない。

返ってくるお金

給付金として健康保険から返ってくる金額は、弾性着衣・弾性包帯の購入額から自己負担額を差し引いた金額です。

簡単に言うと、7割が返ってくるのですが、加入されている健康保険によって、自己負担額が変わりますので、8割分返ってくる方、9割返ってくる方、あるいは福祉医療などでほぼ全額が帰ってくる方など様々です。

また、給付対象額の上限がありますので、単純に購入金額の7割(8割・9割)が帰ってくるわけではありません。

弾性ストッキングの場合は、パンティストッキングタイプが28,000円(片足用ストッキングは25,000円)、

弾性スリーブは、16,000円、

弾性グローブは、15,000円がそれぞれ対象金額の上限となり、この上限金額からそれぞれの負担割合に応じて給付金額が決定されます。

保険者によっては、パンティストッキングタイプと片足用ストッキングの違いを把握しておらず、パンティストッキングタイプを購入したにもかかわらず、給付金額を25,000円を上限に算定してくるところもあります。

健康保険から給付決定通知が届いたら、給付金額をしっかり確認してくださいね。

もしも給付金額が本来よりも少なければ、決定通知が届いた保険者へ申し出てください。

​差額分が追加で給付されます。

原発性リンパ浮腫の方の療養費申請

「続発性リンパ浮腫と同様の症状であり、弾性着衣(弾性包帯)の装着により改善が見込まれる」

というような文言を入れてもらうと、保険者によってはすんなり給付を受けられることがあるかもしれません。

弾性着衣、弾性包帯の給付金の決定の基になるのが、厚生労働省医療課長通知、平成20年3月21日付保医発第0321001号です。

この通知はあくまでも、基本的な事が書いてあって、実際の給付金決定は各保険者の裁量によるところが大きいです。

それが同じ原発性リンパ浮腫の方でも、給付を受けられる方と受けられない方の差を生み出してしまうのです。

原発性リンパ浮腫の療養費について個人的な意見をブログに書いています。

よろしければ読んでみてくださいね。

原発性リンパ浮腫の療養費について ​←click!

弾性着衣の給付金はこの通知が全てと言っても過言ではありません。

ちょっと堅苦しい言葉ばかりが並びますが、A4にして2枚分です。頑張って読んでみてくださいね。

*すぐ下の文章は、公開されている通知文を元にnokiaがテキスト化しています。レイアウトなど異なる部分はありますが内容は忠実に再現しています。テキスト文の次に厚生労働省から出ている通知文書の画像を載せますので、どちらか読みやすい方で読んでみてください。

厚生労働省通知

保医発 第 0321001 号

平成20年3月21日

地方社会保険事務局長
地方厚生(支)局長
 国民年金保健課(部)長    
都道府県老人医療主管部(局)
 老人医療主管課(部)長            殿
厚生労働省保険局医療課長     

四肢のリンパ浮腫治療のための弾性着衣等に係る
療養費の支給における留意事項について

 四肢のリンパ浮腫治療のために使用される弾性ストッキング、弾性スリーブ、弾性グローブ及び弾性包帯(以下「弾性着衣等」と言う。)に係る療養費の支給については、「四肢のリンパ浮腫治療のための弾性着衣等に係る療養費の支給について」(平成20年3月21日保発第 0321002 号)により通知されたところであるが、支給に当たっての留意事項は以下のとおりであるので、周知を図られたい。

1 支給対象となる疾病  リンパ節郭清術を伴う悪性腫瘍(悪性黒色腫、乳腺をはじめとする腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍、子宮悪性腫瘍、子宮附属器悪性腫瘍、前立腺悪性腫瘍及び膀胱をはじめとする泌尿器系の骨盤内のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍)の術後に発生する四肢のリンパ浮腫
2 弾性着衣(弾性ストッキング、弾性スリーブ及び弾性グローブ)の支給
 (1)製品の着圧
   30mmHg以上の弾性着衣を支給の対象とする。ただし、関節炎や腱鞘炎により強い着圧では明らかに装着に支障をきたす場合など、医師の判断により特別の指示がある場合は20mmHg以上の着圧であっても支給して差し支えない。
 (2)支給回数
   1度に購入する弾性着衣は、洗い替えを考慮し、装着部位毎に2着を限度とする。(パンティストッキングタイプの弾性ストッキングについては、両下肢で1着となることから、両下肢に必要な場合であっても2着を限度とする。また、例えば①乳がん、子宮等複数部位の手術を受けた者で、上肢及び下肢に必要な場合、②左右の乳がんの手術を受けた者で、左右の上肢に必要な場合及び③右上肢で弾性スリーブと弾性グローブの両方が必要な場合などは、医師による指示があればそれぞれ2着を限度として支給して差し支えない。)
 また、弾性着衣の着圧は経年劣化することから、前回の購入後6ヶ月経過後において再度購入された場合は、療養費として支給して差し支えない。

(3)支給申請費用
   療養費として支給する額は、1着あたり弾性ストッキングについては28,000円(片足用の場合は25,000円)、弾性スリーブについては16,000円、弾性グローブについては15,000円を上限とし、弾性着衣の購入に要した費用の範囲内とすること。

3 弾性包帯の支給
(1)支給対象
  弾性包帯については、医師の判断により弾性着衣を使用できないとの指示がある場合に限り療養費の支給対象とする。

(2)支給回数
 1度に購入する弾性包帯は、洗い替えを考慮し、装着部位毎に2組を限度とする。
 また、弾性包帯は経年劣化することから、前回の購入後6ヶ月経過後において再度購入された場合は、療養費として支給して差し支えない。

(3)支給申請費用
 療養費として支給する際は、弾性包帯については装着に必要な製品(筒状包帯、パッティング包帯、ガーゼ指包帯、粘着テープ等を含む)1組がそれぞれ上肢7,000円、下肢14,000円を上限とし、弾性包帯の購入に要した費用の範囲内とすること。

​4 療養費の支給申請には、次の書類を添付させ、治療用として必要がある旨を確認した上で、適正な療養費の支給に努められたいこと。
(1)療養担当に当たる医師の弾性着衣等の装着指示書(装着部位、手術日等が明記されていること。別紙様式を参照のこと。)
(2)弾性着衣等を購入した際の領収書又は費用の額を証する書類。