2016年9月5日、岡山市の光生病院にて開かれたリンパ浮腫セミナーに参加してきました。教えていただいたことをまとめましたので参考にしてくださいね。

第1部 リンパ浮腫治療の現状について

岡山大学病院形成外科 山田先生のお話

リンパ浮腫治療の現状についてお話がありました。リンパ浮腫の発症原因別は、がん治療の後遺症が約70%、子宮がんと乳がんで57%にものぼります。私が気になったのは、原因不明が18%もある、ということです。これまでもリンパ浮腫の症状を持つ人がいたのに表面化してこなかったんでしょうか?

最近は新規の患者さんが増えているそうです。女優の古村比呂さんがリンパ管静脈吻合術を受けられ、その様子がドキュメンタリー番組として放映されたこと理由の一つのようです。

​岡山大学病院での外科治療は、
・リンパ管静脈吻合術(LVA)
・リンパ浮腫に対する脂肪吸引(SAL)
・リンパ節移植術(LNT)
の、3本柱で当たられています。2つ以上の術式を組み合わせたハイブリッド治療にも積極的です。特に、リンパ管静脈吻合術(LVA)は、局所麻酔での手術が可能で、傷跡も小さく、入院期間も1週間ほどと患者負担が小さいのがいいところ。ただ、このLVA、発症早期でないと効果はあまり期待できないそうです。ボリュームが出てしまってからだと、リンパ管をつなげただけでは流しきれないのが実情だとか。そんな場合は、LVAとSALを組み合わせたハイブリッド治療。nokiaが受けた治療ですね。いずれも術後はしっかりと圧迫することが大事です。

​全国の形成外科にアンケート調査をされました。(実施回収機関がどこだったのかメモするの忘れました。スミマセン。。。)
全形成外科の約25%で、リンパ管静脈吻合術LVAの実績はあるそうですが、事例としては年間数件というところがほとんど。それでも、治療を行った半数の形成外科が、LVA単独の治療でも効果はあった、との回答があったそうです。

​すでにボリュームが出てしまった患部の脂肪吸引(SAL)について、当初は、組織を傷つけてしまい逆にリンパの流れが悪くなるんじゃないか? との懸念があったそうですが、それは杞憂に終わったそうです。しっかりと圧迫を続けていれば、徐々にボリュームが減少していきます。
山田先生いわく、「LVAとSALの合わせ技、効果絶大!」だ、そうですよ!

第2部、「食べ方を工夫してむくみを減らす」

管理栄養士、坂本先生からのお話し。

太る2大要素は、
1. エネルギー過多
2. 塩分過多
わかっちゃいるけど食べ過ぎで。。。なんてことありますよね。

まずは、標準体重の計算方法。
(身長cm)×(身長cm)×(22~26)÷10000
例えば、身長160cmの場合は、
(160cm)×(身長160cm)×(22~26)÷10000=56kg~66.kg
と、なりますね。みなさんはいかがですか?

食事のポイントは、「少ない塩でおいしく」だ、そうです。
塩を減らす工夫としては、

  • 濃いめのだしを使う(天然素材でとったもの)
  • 下処理をきっちりする
  • 天然の酸味を使う(レモンや柚子など)
  • 表面に味をつける(照り焼きなど)
  • 新鮮なものを食べる
  • 香辛料を上手に使う

などなど。表面に味をつける、というのは目からウロコですね。

食品の塩分相当量というのも覚えておくと便利そうです。
ナトリウム量×2.54÷1000=食塩相当量
なりますが、食品の裏書を見ながらいちいち計算するのは大変なので、
ナトリウム400mg=塩1g
と覚えておくとOK。
体重を減らすことばかりに気を取られて、必要なエネルギーや塩分を摂らないとかえって体には負担になります。適度に食べて、適度に運動する、というのが理想だそうですよ。

「運動できない時は?」の質問に、先生は、

  • よく噛む
  • 歯のメンテナンスをする

ということも重要だとおっしゃっていました。さっさと歯磨きして、早寝する。これが意外にもダイエット効果が高いのだとか。

第3部、「リンパ浮腫と上手につきあうためには?

特別公演・リムズ徳島クリニック、小川佳宏先生

『圧迫の工夫と運動』

リンパ浮腫を良くするためには?
「痩せること」
が、いちばんだそうです。
確かに、外来では毎回体重測定があるし、主治医は体重が減っていると嬉しそう。
第2部の坂本先生のお話しの中にもありましたね。標準体重の計算方法は、
(身長cm)×(身長cm)×(22~26)÷10000 
体重管理が一番のリンパ浮腫ですが、むくみの原因として内的要因も多いそうですよ。

​むくみが出やすい病気ってありますよね。たとえば腎不全とか、肝臓の病気や、下肢静脈瘤などなど。そういった、むくみを起こしやすい病気を治療することで、リンパ浮腫が少し改善する場合もあるそうです。

​この記事を読んでくださってる方の中で、お薬を常用されている方いらっしゃいますか? 実は、薬の副作用でむくみが起きている! なんてこともあるらしいのです。
例えば、高血圧の薬や消炎鎮痛薬など。アムロジピン、リリカ、ボルタレン、ロキソニン。。。他にもたくさん。
お薬でむくみが起こることをよく認識されていない医師が多いそうです。もし、常用薬があるのなら、かかりつけの医師に相談してみてください。併せて、薬剤師さんに相談してみるのもいいかもしれませんね。そのお薬の副作用でむくみがおきているなら、他のお薬に変えてもらうのもむくみを減らす方法の一つです。

私もアレルギーのお薬を飲むのですが、調べてみると副作用でむくみが起きるものがありました。それからは、お薬が処方された時に、医師に尋ねたりさらに薬剤師さんにも確認してからもらうようにしています。これって、簡単そうでなかなかできないことですよね。お医者さんにそんなことお願いしてもいいの?って思ってしまいますもん。でもでも! ちょっとだけ勇気出して先生とお話ししてみましょ。

『むくみをコントロールする』

体の水分は、細胞に入ったり出たり。体の状態が良ければ、出入りの水分量は同じなんですが、出てくる水分が多くて、再吸収されない状態が「むくみ」。
​体の水分というのは
・毛細血管からの出入りが90%
・リンパ管による運搬が10%
一時的なむくみというのは、毛細血管から漏れ出た水分が細胞間にとどまるというもの。それに対して、リンパの働きが悪くて水分が再吸収されずに起きるむくみがリンパ浮腫。わずか10%の働きが鈍るだけで容姿が変わるほどのむくみが起きてくるのですね。小川先生によると、新患20人のうち、実は15人は血管系のむくみ、ただのむくみなのだそうです。

水分の漏れ出しが多いとむくむ → 圧迫する → 余分に水分を出させない → 悪化させない
というのがリンパ浮腫の圧迫療法。圧迫してると「漏れだす場所がないんやったら、仕方ないし戻っとこか~」って水が考えるんでしょうかね~皮膚って弾力があるから、内側に水があると水風船みたいに膨らんでくるのか。。。そう考えると、圧迫する意味が理解できるかも。と、リンパ浮腫歴10数年のnokia、初めての納得(^^;)

『効果的な圧迫とは』

圧迫はがっちりやったほうがいいの?
むくみがあると少しでも細くしたくて、ぎゅうぎゅうとしっかりと締めてしまったりしませんか? 実はこれ、やり過ぎると皮膚トラブルなどを起こして逆効果になるんです。私も足首まわりの圧迫を緩めにするなど、締めすぎない圧迫療法に変えてからは、足先の痺れ感がほぼなくなりました。何事もほどほどに、が大切ですね。

​弾性ストッキングや弾性スリーブにくいこみがあるとどうなるか。。。
くいこんだところで流れが堰き止められ、そこにリンパがたまってむくみがひどくなる。一体なんのために弾性着衣を着けているんだか。本末転倒とはこのこと? 食い込みのあるところはしっかりと伸ばして着用する、それだけで弾性着衣での圧迫は効果的になるそうですよ。

たとえば、肘の内側と、腕の付け根でくいこんだとしましょう。上腕の両側で堰き止められたリンパは行き場をなくして上腕で溜まっていきます。
膝裏と足の付根、足首と膝裏、でも同じことがいえます。せっかく弾性着衣を装着するんなら効果があるほうがいいですもんね。どうしてもくい込みやすい人は、生地に厚みのある平編みの弾性着衣のほうがいいそうですよ(*^^*)

​くいこみなく、きれいに装着していても、普段の生活では肘や膝が曲がったままになることがありますよね。そういう時は腕や膝を伸ばす。座ってたら足の付根が曲がったままになるので、ときどき立ち上がったりして伸ばす。お行儀良さはこの際脇に置いといてゆる〜い生活がリンパ浮腫にはいいですよ~

​そして、気をつけてても、どんな姿勢でもくいこむなら。。。
モシカシタラ、あなたはぽっちゃりさんではないですか? 自分の肉でくい込みを作ってしまってませんか?
「痩せましょう」
それがリンパ浮腫の悪化を防ぐ1番の近道です。とのことでした~(^o^;;)

『リンパ浮腫のリンパマッサージ』

ここで、リンパの流れをおさらい。リンパは、体を左右上下に4分割したエリアで自発的に流れているんだそうです。たとえば、右側の上半身は、右腋窩リンパ節へ向かって流れる。右側の下半身は右鼠径リンパ節へ。それが、手術などでリンパ節の機能が低下したなら。。。それぞれのエリアで流れる先が見つからないリンパが、そのエリアにとどまってしまうことになります。それがリンパ浮腫。

そこで、リンパマッサージ。境界を越えるところまで流してあげる。そうするとあとは、自発的にそのエリアのリンパ節へ向かって流れていってくれるのだそうです。このリンパマッサージ、少しの刺激で流れるので、優しく肌表面をさすってあげるだけで効果があります。セラピストさんの施術を受けたことがある方はよくご存知ですよね。やさし〜く優しく。強~くゴシゴシやっても効果に変わりはないそうです。むしろゴシゴシで皮膚を傷めてしまうとこれまたリンパ浮腫には逆効果。セルフマッサージをされる方はお気をつけて(^^)

​エアボ・ウェーブの紹介もありました。実物を触らせてもらってきましたよ。素材のほとんどがコットンだそうで、とても肌触りがいいです。ポコポコもいい感じ。ただ、かなり厚みのあるコットン素材なので洗濯したらなかなか乾かないそうです(^ ^;;)
こちらは、かかりつけのリンパ浮腫外来や治療院を通じて購入できます。

『リンパ浮腫と運動』

最後にリンパ浮腫と運動についてのお話がありました。
圧迫下での運動が、リンパ浮腫には効果的だということは先輩リンフィさんならよくご存知かと思いますが。。。「運動ってなかなかできないやんっ」と、いう方。ウォーキングしたり、サイクリングしたり、筋トレしたり。。。 名前のついてるものだけが運動だと思ってませんか?
お掃除で家の中を歩きまわったり、自転車で仕事に行ったり、お買い物帰りに荷物を持って筋肉を使ったりしてませんか? 名前はついてないけどこれは立派な運動でしょ(*^^*) 日常をよく動きまわること。こんな感じでいいんですって。それならできますよね。ただし、無理なく、疲れや痛みが残らないくらいに。
やはり、ほどほどに、ですね。

小川先生のお話しはここまでです。

最後に。。

岡山大学病院形成外科、木俣先生が締められました。
ちょっと興味深いお話しだったので書かせてくださいね。

リンパとはラテン語で「湧き出る泉」という意味の言葉から来ているのだそうです。紀元前のこと、体の中には4つの液があると考えられていました。
・赤い液(血液)
・粘液
・黄色い液(胆汁)
・黒い液(黒胆汁)
そこに、医学者のヒポクラテス(BC5世紀頃)は、白い液、リンパの提言をしているのだそうです。ヒポクラテスの頃からって。。。何千年も前からリンパについては着目されていたんですね。1744年刊の解体新書(杉田玄白)にもリンパのことは出てきているそうですよ。
免疫を司るとか、言われているけれども。。。リンパの働きって。。。本当のところ、『よくわからない』のだそうです(^^;) まだまだ未知の世界なんですね。

木俣先生をはじめ、チームのみなさんは、『患者さんの笑顔が何よりも嬉しい。だから、がんばれる』そんなことをおっしゃって、セミナーは締めくくられました。